2023.4.10
“環境共生住宅”とはどんな家?条件やデメリット・注意点を分かりやすく解説
環境配慮をコンセプトにした住宅が増えている中、国土交通省が強く推し進めているのが「環境共生住宅の普及」です。
しかし、まだまだその認知度は一般の方まで広がっておらず、どんな住宅なのか知らない方も多いでしょう。
そこで、今回は「環境共生住宅」の定義や具体的な要素についてお話しします。
これから環境に優しいマイホームを建てたい方は、ぜひ参考にしてください。
■ 「環境共生住宅」を実現させるためには、様々なアプローチからプランニングをする必要があります。
■ 私たち“エムズホーム”は、「愛着の持てる住まいづくり」をコンセプトに、高気密・高断熱でスタイリッシュな住宅づくりを行なっています。
“環境共生住宅”の定義とは?
環境共生住宅と聞くと、「なんとなく環境に優しい家」というイメージが思い浮かぶでしょう。
国土交通省では、環境共生住宅を以下のように定義付けています。
「環境共生住宅」とは、地球温暖化防止等の地球環境保全を促進する観点から、地域の特性に応じ、エネルギー・資源・廃棄物等の面で適切な配慮がなされるとともに、周辺環境と調和し、健康で快適に生活できるよう工夫された住宅及び住環境のことを言います。
(引用:国土交通省)
これだけ聞いても、漠然としていていまいちどのような住宅を指すのか分かりませんよね。
要約すると、以下のようなポイントを備えた住宅を指します。
- ・地球温暖化に配慮している
- ・資源やエネルギーの有効活用及び再利用に配慮している
- ・生物の生体環境保全に配慮している
- ・周辺環境と調和している
- ・住まい手が健康かつ快適に生活できる
「自然環境への配慮」+「周辺環境への配慮」+「快適な住環境の確保」
(引用:一般社団法人 環境共生住宅推進協議会)
「環境共生住宅=エコ住宅・省エネ住宅」と思われがちですが、その要素はそれだけに限らず、周りに住む人・自然や、住まい手の豊かで幸せな暮らしにまで及ぶのです。
“環境共生住宅”を建てる際に重要な“9つ”のポイント
環境共生住宅の条件は、明確に決められているため、その内容を全て網羅しなくては正式な認定は受けられません。
では、具体的にはどのような基準を満たしていなくてはいけないのでしょうか?
その① 高気密・高断熱による「熱損失の低減」
まず、家の気密性・断熱性を高め、「熱損失」を極力抑える必要があります。
熱損失とは、住宅が外部に放熱(放冷)し、熱エネルギーを失ってしまう現象で、冷暖房負荷を評価する際に用いられるキーワードです。
2017年に作成された基準では、「日本住宅性能表示基準における“断熱等性能等級4”」に適合していることが求められています。
しかし、2022年の「建築物省エネ法」改正によって、2025年からは全ての新築住宅へ断熱等性能等級4以上が義務付けられるため、環境共生住宅の条件は今後それ以上に高まることが想定できます。
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その② 「再生可能エネルギー活用」に係る設備の導入
環境への配慮として、使う電力量を抑えるだけではなく、自然エネルギーを活用することも重要です。
そのため、環境共生住宅には、以下の中から最低1つの設備を導入しなくてはいけません。
- ・太陽光発電システム
- ・燃料系潜熱回収瞬間式給湯器
- ・電気ヒートポンプ式給湯機
- ・太陽熱温水器、太陽熱給湯システム
- ・ガスエンジン式コージェネレーションシステム
- ・燃料電池式コージェネレーションシステム
- ・その他上記と同等の性能を持つ設備
(参考:一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター|【戸建住宅用】 認定基準に関する資料)
その③ 長寿命を実現するための「劣化対策」
いくら自然環境に配慮しても、家の寿命が短ければ早々と建て替えや改修をしなくてはなりません。
廃材処分や建設にかかるエネルギーなどを考慮すると、それでは全く自然に優しくありませんよね。
そのため、「日本住宅性能表示基準における“劣化対策等級3”」に適合していなくてはいけません。
劣化対策等級3のレベルは「住宅が限界状態に至るまでの期間が3世代以上となるための必要な対策」と定義付けられており、以下の条件が求められます。
- ・「外壁の軸組等」における一定の防腐・防蟻措置
- ・「土台」における一定の防腐・防蟻措置
- ・「浴室及び脱衣室」における一定の防水措置等
- ・「地盤」における一定の防蟻措置
- ・「基礎」における一定の基礎高さ確保
- ・「床下」における一定の防湿・換気措置
- ・「小屋裏」における一定の換気措置
- ・「構造部材等」における基準法施行令規定への適合
(参考:国土交通省|評価方法基準案(劣化対策)の各等級に要求される水準の考え方)
その④ 永続的に住み続けるための「メンテナンス性」
長く住み続けるためには、築年数に応じて適切なメンテナンスを行わなければいけません。
特に、隠蔽部の給排水管は劣化すると水漏れが発生して構造躯体まで影響をおよぼしてしまいますし、ガス管は大きな事故を招いてしまう恐れがあります。
そのため、「日本住宅性能表示基準における“維持管理対策(専用配管)等級3 ”」に適合していることが求められており、認定基準は以下の通りです。
- 給排水管、給湯管及びガス管を維持管理するために、躯体を傷めないで点検及び補修を行えるか(配管はコンクリートに埋め込まれていないか)
- 躯体や仕上げ材(内装材)を傷つけず、点検や清掃が行えるか(点検口や掃除口の設置など)
(参考:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会)
その⑤ 水資源を守るための「節水対策」
日本は世界でも有数の“水資源大国”であり、深刻な水不足のリスクは少ないかもしれません。
しかし、水道水をご家庭へ運ぶためには電力が使われていますし、雨水を溜め込むためのダム建設によって、間違いなく自然は壊されてしまいます。
そのため、環境共生住宅においては、下記のうち最低でも2つ以上の取り組みをしている必要があります。
- ・設置する便器の半数以上に節水型を採用している
- ・設置する水栓の半数以上に節水型を採用している
- ・据え置きタイプの電気食器洗い機を設置している
(参考:一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター|【戸建住宅用】 認定基準に関する資料)
その⑥ 水害対策に配慮した「雨水利用」
省エネや住宅の長寿命化における対策は、長期優良住宅などでも条件とされていますが、地域環境への配慮は「環境共生住宅」特有の条件です。
その地域の降水量や地盤の状態に合わせて、「雨水地下浸透システム」もしくは「雨水処理システム(雨水貯留タンク)」を設置しなくてはいけません。
その理由は、土壌面積が少ない都市部において、雨水を確実に地中へ浸透させるか溜め込んで利用することで、都市型水害(都市型洪水)のリスクを軽減できるからです。
(引用:広島県)
雨水地下浸透工法は、浸透トレンチや浸透桝、透水性舗装などの雨水浸透施設を組み合わせて、降雨水を地表又は地表近くの土中に分散・浸透させ、地区外への雨水流出を最小限に抑えようとする環境に優しい手法のことです。
(中略)
雨水浸透工法の効果としては次の3点が挙げられます。
- 地下水を涵養し、河川の平常水を確保することで、自然の水循環システムが保全される。
- 設置地区からの雨水の流出総量、ピーク流量が減少し、降雨開始から流出までの時間を遅らせ、都市型水害を防止する。
- 調整池を縮小することで、効率的な土地利用が可能になる。
(引用:UR都市機構)
「雨水処理システム(雨水貯留タンク)」は、屋根から竪樋を伝う雨水をタンクにためて濾過し雑用水として利用する設備で、戸建住宅への導入事例が増えています。
その⑦ 積極的な「緑化」
環境共生住宅は、その住宅を建てたことで周辺の自然環境やそこに住む生き物の生態系を壊してはいけないとしています。
そのため、以下に対する取り組みを行わなくてはいけません。
- ・エクステリア(敷地内屋外部分)の40%以上を“緑化”すること。
- ・敷地内に、自生種もしくは郷土種、その他その土地に馴染む種類の樹木を1本以上植えること。
(参考:一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター|【戸建住宅用】 認定基準に関する資料)
“緑化”を国土交通省では、「地面や人工的に造った植栽基盤を、樹木や地被植物で覆うこと」としており、エクステリア部分に芝生やその他植物を植えることが求められます。
自主種や郷土種については考え方は様々ですが、その土地の気候風土に合い、成長しやすい樹木を指すため、地域の特性を知る施工会社へ相談するのがおすすめです。
その⑧ 街並みへの「景観配慮」
環境共生住宅は、街並みに溶け込んでいるかも重要視されます。
自治体が設けている景観条例などに違反していないことはもちろん、建物とエクステリアに最低1項目以上景観に配慮した工夫を凝らしていなければいけません。
例は以下の通りです。
- ・地形や自然環境の骨格を大きく変えない
- ・沿道空間を隣地などと調和させて連続性を持たせる
- ・季節を感じられる樹木を植える
- ・門灯、門扉、門柱などのエクステリアを統一し、デザイン性を高める
- ・アプローチ、駐車場などの舗装材を敷地外と調和させ、空車時に無機質な印象とならないように意識する
- ・沿道に雑然とした景観が現れないように、生活に必要なスペースについて整理しやすいようにする(ゴミ置き場、駐輪スペース、物置など)
- ・住宅の外観は既存の街並みと調和させ、地域の歴史的背景を読み取り、反映させる
- ・地域の住宅を参考に外観カラーを選定する
- ・遠景と中景の関係性を考慮したスカイラインとする
- ・既存住宅の屋根形状と調和した勾配屋根を採用する
- ・表情のあるファサード(正面デザイン)にする
- ・中間領域を設ける(花台、出窓、サンルーム、縁側、パーゴラなど)
- ・無表情な外観とならないように、セットバックやインナーバルコニーなどを取り入れて外観デザインに変化をつける
(参考:一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター|【戸建住宅用】 認定基準に関する資料)
その⑨ 健康と環境に配慮した「建材選定」
室内の空気環境を整え、シックハウス症候群の発症リスクを抑えることを目的とし、内装材にはF☆☆☆☆(エフフォースター)以上の安全基準をクリアした材料を使わなくてはいけません。
この点についてはある程度建築基準法でも規定されているため、最近の新築住宅はほぼクリアしているでしょう。(参考:国土交通省|建築基準法に基づくシックハウス対策について)
ただし、環境共生住宅では、建築基準法の規定外である接着剤・塗料等に含まれるトルエンやキシレンの使用も禁止されているなど、より厳しい条件が課せられます。
ただし、床・天井裏を含めて住宅内全ての空気が循環する換気システムを採用している場合は、一部の条件が免除されるため、必ず詳細を確認しましょう。
また、認定基準の中には「単に、自然素材であるということのみでは評価の対象にならない」とはっきり記載されているため、自然素材にこだわれば“健康・環境には優しい”とは認められないので注意してください。
〈参考ページ〉
一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター|【戸建住宅用】 認定基準に関する資料
環境共生住宅はメリットだけ?デメリット・注意点はない?
環境共生住宅について知れば知るほど、「いいことづくめ」と思うかもしれません。
住み心地や環境へ優しい点以外にも、以下のようなメリットがあります。
■ 環境問題解決に向けて貢献できる。
■ 基準に沿っていれば、長寿命化かつバリアフリーや空気環境などにも配慮されている。
■ 認定を受ければ自治体によっては補助金制度がある。
しかし、デメリットや注意点がない訳ではありません。
環境共生住宅を検討する際には、必ずこれらについても十分理解しておくことをおすすめします。
その① 新築コストは高め
環境共生住宅の要件を満たすためには、高性能な断熱材や設備機器、環境や健康に配慮した建築材料を使わなくてはいけませんし、エクステリアのプランにもこだわる必要があります。
そのため、新築コストが割高になる可能性は否めません。
ただし、最近は「高気密高断熱住宅」や「省エネ住宅」が普及しているため、それらとの価格差はかなり縮まりつつあると言っても間違いないでしょう。
また、メンテナンス性や耐久性にも配慮されているため、住宅の長寿命化は期待でき、長い間住み続けることも可能です。
そのため、初期費用はかかるものの、長い目で見ると、決して損ではありません。
その② 正式な認定を受けるには条件が厳しい
環境共生住宅には認定制度があり、基準を全て満たしていなくては認定されません。
建物の断熱性やメンテナンス性、健康への配慮など、住宅内で満たせる条件をクリアすることはそれほど困難ではないかもしれませんが、エクステリアについては条件を満たせない可能性もあるでしょう。
しかし、その場合でも環境共生住宅を諦めてはいけません。
大事な点は「自然環境・周辺環境・住環境」に配慮すること。
取り入れられる範囲で条件をプランに反映させるだけでも、十分その意義はあると言えるでしょう。
その③ 設計・施工会社が限られる
環境共生住宅は、様々な観点から総合的に住宅のプランニングをしなくてはいけないため、どの設計・施工会社でも実現できるとは限りません。
特に、高気密・高断熱のアプローチは、それを得意とする会社へ相談することが重要です。
なぜなら、施工のクオリティによっては“結露”を招いてしまう恐れがあるから。
必ず、豊富な知識と施工実績のある会社に任せましょう。
まとめ|環境共生住宅はサスティナブルな住まいのかたち
環境共生住宅は、「自然環境・周辺環境・住まい手」全てに優しい住宅のかたちです。
これはまさに、今求められている“サスティナビリティ(持続可能性)”にもつながります。
長寿命で環境に優しく、さらに健康的な暮らしを実現できるのが「環境共生住宅」。
これからマイホーム建設を検討する方は、ぜひ環境共生住宅の良いところをプランに取り入れてみてください。
私たち“エムズホーム”は、「愛着の持てる住まいづくり」をコンセプトに、高気密・高断熱でスタイリッシュな住宅づくりを行なっています。
快適なマイホームづくりを実現したい方は、メール・お電話にてご相談ください。
エムズホームの家は「高断熱・高気密」にこだわっています
私たち“エムズホーム”では、お客様の快適な暮らしを実現させるために、「高断熱・高気密」を標準仕様としています。
■ UA値が0.39以下
家の「室内と外気の熱の出入りのしやすさ」を表すUA値が0.39以下になるようにプランニングいたします。
特に、屋根・天井の断熱材は、高性能グラスウール310mmを使用し、冬場の寒さはもちろん、真夏に小屋裏(天井裏)に蓄えられる熱気が室内に伝わることを抑えます。
UA値が低いということは、空調効率がアップするということ。
“エムズホーム”で新築したオール電化住宅では、省エネ性も立証されています。
■ Uw値が0.94以下
UA値が家全体の断熱性を示しているのに対して、Uw値は“窓”の断熱性を示す指標です。
窓は、外壁などよりも熱損失量が多く、重点的に断熱をしなくてはいけない場所。
ですから、“エムズホーム”では、「樹脂サッシ」+「断熱ガス入り金属膜トリプルガラス」を標準仕様としています。
ヒートブリッジ(熱橋)と呼ばれる“熱の出入り口”となりやすいアルミサッシにせず、熱伝導率の低い樹脂サッシにし、さらに最高峰の断熱性をもつトリプルガラスを入れることで、窓辺の温度差による不快感を抑え、結露の発生も防げます。
広島・島根で快適なマイホームを建てたい方はエムズホームにご相談を
私たち“エムズホーム”は、広島県三次市を拠点に創業1967年から“愛着の持てる住まいづくり”をモットーに、「温熱環境」「光・空気環境」「デザイン性」を重視した高性能住宅の設計施工をしております。
【お客様への“3つのお約束”】
- 1.私たちは、ストレスなく過ごして頂ける住まいの環境を整え、豊かな暮らしへの支援をし続けます。
- 2.私たちは、健康で、安心して暮らせる家(性能)を、断熱、気密、換気、空調、通風、採光、日射等についてシミュレーションで可視化してご提案します。
- 3.私たちは、豊かに暮らすための考え方、住宅ローン、LCC(ライフサイクルコスト)、光熱費、収納、家事楽、室内環境、地域貢献等)賢く住まうための知識など)をアドバイス。理想の豊かな住まいづくりの実現を一緒に目指して参ります。
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