2023.5.20
太陽光発電“9つ”のデメリットと対策を省エネ住宅のプロが簡単解説
東京都で新築住宅へ太陽光パネルの義務化されたニュースも記憶に新しいでしょう。
社会の再生可能エネルギー活用は、地球環境を守る上で有効な方法。
そのため、新築住宅を建てる際に、太陽光発電システムの導入を検討する方も多いでしょう。
しかし、導入する前に知っておいてほしいデメリットがあるのも事実です。
そこで、今回は「太陽光発電のデメリット」に着目し、その対策と併せて詳しく解説します。
これからマイホームを建てる方や、省エネ住宅に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
■ コストや近隣トラブルの可能性、住宅性能との関係性について知らずに導入すると、後悔につながってしまいます。
■ 私たち“エムズホーム”は、「愛着の持てる住まいづくり」をコンセプトに、高気密・高断熱で省エネ性能の高いスタイリッシュな住宅づくりを行なっています。
新築住宅に太陽光パネルは設置すべき?メリットと現在の普及率
住宅業界のトレンドでもあるZEH。
ネット・ゼロ・エネルギー住宅を指し、高断熱性や高性能設備で消費エネルギーを削減し、太陽光発電でエネルギーを創り出して、その住宅に係るエネルギー量を“±ゼロ”にすることがコンセプトです。(参考:資源エネルギー庁|ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス))
そのほかにも、ZEHのいいところを部分的に取り入れた省エネ住宅は増えており、住宅用太陽光発電システムの導入件数は、順調に増加しています。
一般社団法人 太陽光発電協会の調べによると、2019年時点で全戸建住宅に対する太陽光発電の普及率は「9%」で、その家の8割をZEHなどの新築住宅が占めます。
(引用:総務省統計局|太陽光発電の状況)
これを少ないと見るか多いと見るかは専門家でも意見が分かれますが、確実に住宅への普及が進んでいることは事実です。
では、なぜ太陽光発電を自宅へ取り入れる方が増えているのでしょうか?
それには、6つのメリットが関係します。
その①「電気代の削減」
多くの人が太陽光発電を導入する理由として挙げるのが、「電気代の削減」。
昨今、電気料金がどんどん値上げされているため、既存住宅への採用を検討する方も増えています。
太陽光発電は、初期費用がかかるものの、消費電力のうちの多くを自給できるため、電気代は間違いなく減ります。
また、余剰電力を売電し、家計の足しにすることもできるでしょう。
ただし、売電価格は年々下がっているため、太陽光発電による収入を充てにするのは少々危険です。(参考:資源エネルギー庁|太陽光発電について)
そもそも、余剰電力の買取は、太陽光発電の導入資金をカバーするためのもの。
普及率が上がるにつれて初期費用は下がっているため、その分売電価格が安くなることは、当然のことかもしれません。
その②「節電意識が高まる」
太陽光発電を取り入れて、自然と節電意識が高まったという方も少なくありません。
消費エネルギーを抑えればその分売電に充てられますし、日々モニターで消費電力量をチェックできるため、“使い過ぎ”に気がつきやすいのが理由です。
ご家庭によっては、太陽光発電の導入により、消費電力量が10%程度減ったというケースもあるほど。
大切なのは、日々の生活においてどのように電力を消費しているのかを意識することです。
使用電力量の多い機器はどれか、自宅の電力自給率はどれくらいかなどを日常的に分析することを習慣づけることで、結果的に買電力量を減らせます。
その③「再エネ賦課金が減額される」
固定価格買取制度(FIT法)で買い取られる電力の費用は、電気使用者から徴収される「再エネ賦課金」によって賄われています。
月々の電気料金請求の際に、「電力会社から買った電力量(kWh)× 1.4円 ※2023年時点」の料金が徴収されているはずです。
電力会社から買電している全ての家庭が支払わなくてはいけませんが、太陽光発電によって電力の多くを自給できれば、その分再エネ賦課金も削減できます。(参考:資源エネルギー庁|FIT・FIP制度)
その④「停電時でも日常生活を送れる」
忘れてしまいがちですが、太陽光発電システムは防災面でも大きなメリットがあります。
パワーコンディショナ―を切り替えることで、自立運転が可能となり、災害時などに電力会社からの供給が止まっても、自宅で電気を使うことができるのです。
(引用:太陽光発電協会|停電時でも電気が使えます)
晴天であり蓄電池を備えていれば、冷蔵庫や洗濯機、テレビなどの基本的な家電製品を同時に運転できる可能性が高いですし、場合によっては近隣の方へ電力を分けてあげることもできます。
もはや、私たちの生活に欠かせない「電気」。
国は“在宅避難”を推奨しているため、災害時にも自宅である程度生活を継続できるようにしておくことは重要です。(参考:一般社団法人 日本住宅再生支援機構|自宅が避難所?災害時に在宅避難するための条件と準備)
その⑤「パネル設置範囲の屋根は遮熱効果・断熱効果が高まる」
あまり知られていませんが、屋根に太陽光パネルを設置すると、夏の暑さ・冬の寒さ対策につながると言われています。
特に、夏場の日射熱に対する効果は大きく、下の実験データを見ても、屋根裏の温度を下げる効果があることは明らかです。
天井の断熱材と屋根上の太陽光パネルをどちらも設置しない場合、室内の天井面の温度は、真夏の昼間には外気温より20度も高くなることがあるとわかりました。また、天井の断熱材がなくても、屋根上の太陽光パネルの設置があれば、日射遮蔽効果によって、天井面の温度上昇を抑えられることや、断熱材と太陽光パネルの両方を組み合わせれば、さらにおうちの快適性をアップできることがわかりました。
(引用:環境省|COOL CHOICE)
また、太陽光パネルは冬場の放射冷却を抑える効果があるため、室内の暖かさを屋根から逃しません。
その⑥「地球環境にやさしい」
政府が住宅への太陽光パネル設置を強く推し進めているのには、カーボンニュートラル実現へ向けた目標達成を目指しているからです。
太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの活用は、原油や天然ガスなどの枯渇性資源・輸入資源に頼らないエネルギー確保につながります。
エネルギーを生み出す際に排出されるCO2量を削減できる点もポイント。
化石燃料による火力発電で排出されるCO2量は、1kWhあたり約690gなのに対して、太陽光発電では1kWhあたり17~48gまで落とせることが分かっています。(参考:クールネット東京)
2022年上半期に日本国内で自家用として太陽光発電された総電力量が「332,966, 000kWh」で、火力発電と比べると最低でも「214,097,138,000g=約214,000t」ものCO2を削減できたということです。(参考:資源エネルギー庁|2022年度 統計表一覧)
これは、家庭からの年間平均CO2排出量(5,060kg)のおよそ42,000軒分。
より太陽光発電の普及が進めば、地球温暖化の進行をストップできるかもしれません。
知っておきたい太陽光発電のデメリットと対策は?
経済面・快適面・環境面でメリットの多い太陽光発電ですが、残念ながら設置してから後悔してしまう方は少なくありません。
その原因は、ずばりデメリットについて理解していなかったから。
今まで省エネ住宅を数多く手がけてきた“エムズホーム”だから分かるデメリットを9個紹介します。
対策方法も併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
その① 「導入コストが高い・メンテナンスコストがかかる」
太陽光発電の普及が一気に加速しない原因は、「コスト」にあります。
初期の設備投資はもちろん、導入後のメンテナンスコストも決して安くありません。
政府は、「システム費用が低減傾向にある」と発表しているものの、パワーコンディショナーや蓄電池などの付帯設備を合わせると、数百万円にまで及んでしまいます。(参考:資源エネルギー庁|令和5年度以降の調達価格等に関する意見)
ただし、他の高性能設備機器と大きく異なる点が、導入をすれば年々少しずつ投資費用を回収できる点。
売電価格が下がっているとは言っても、現時点ではゼロではありません。
国や地方自治体の行っている補助事業(補助金・助成金)をうまく活用し、出来るだけコストを抑えましょう。
そして、忘れてはいけないのがメンテナンス費用。
2017年に改正されたFIT法によって、10kW未満の住宅用太陽光発電においても保守点検が義務付けられました。
発電量低下や設備機器の不具合などがないかを早めにチェックするために、4年に一度の保守点検が必要です。
調査費用は1〜2万円程度ですが、その他にも消耗機器の取り替えなどがかかります。
太陽光発電を導入する際には、初期費用だけではなくメンテナンス費用も念頭に置き、資産計画を立ててください。
その② 「メンテナンスを怠ると発電効率が下がる」
太陽光パネルは、経年に伴い劣化します。
劣化するということは、発電効率が下がるということ。
一般社団法人 太陽光発電協会の調べでは、経年劣化による発電効率の低下は、1年で0.5%程度が一般的です。
また、劣化を放置すれば発火などや付帯設備機器の故障などを引き起こしかねません。
経年劣化だけではなく、鳥のフンや落ち葉にも気をつけてください。
なぜなら、太陽光パネルにこれらが付着して長期間放置されると、“ホットスポット”となり、電気の流れを阻害(抵抗)してしまい、熱が止まり発火や故障のリスクが高まるからです。
屋根上の状況は、なかなか日常生活で確認しづらい場所。
だからこそ、義務化されているかどうかは関係なく、定期的にプロへ点検してもらうことが重要なのです。
その③ 「立地条件・天候によっては発電効率が悪い」
太陽光発電の効率を左右するのは、ずばり「日射量」。
当然ですが、悪天候時や日陰になっている時には発電量は減ってしまいます。
(引用:東京電力|太陽光発電の1日の発電量は?)
そのため、設置を検討する場合は、周辺環境や地域の悪天率をチェックしましょう。
太陽電池パネルを設置する屋根の向きは「真南」が最も効率的で、それについで発電量が多いのが「南東・南西」、その次は「真東・真西」です。
ですから、まずはその方角に長時間日陰を作る建物や樹木などがないか確認しましょう。
そして、雨天・曇天日数が極端に多いエリアに家を建てる場合には、太陽光発電の導入に慎重になった方がいいかもしれません。
実際に、雨天日数多い富山県・石川県・福井県では、あまり太陽光発電を導入した住宅が少なく、晴天日数の多い長野県では、普及が進んでいます。
西日本では、島根県も雨天・曇天が多く、今までは太陽光発電の普及があまり進んでいませんでしたが、独自の補助金(「再生可能エネルギー設備等導入支援事業にかかる各市町村補助事業」)を実施を行うなどの取り組みが功を奏し、下の地図のように近年は導入件数が増えています。
その④ 「家の性能によっては省エネにならない」
いくら太陽光発電で電力を創り出しても、家の性能によっては省エネに繋がらない可能性もあります。
ここで知っておいてほしいことは、住宅において最も消費電力の多い設備機器は「エアコン(14.7%)」であるという点です。(参考:全国地球温暖化防止活動推進センター|家庭における消費電力量の内訳)
家の断熱性が低く空調された熱が外へ流れ出てしまえば、消費電力は全く削減できません。
そのため、太陽光発電を設置して省エネを目指す際には、必ずその住宅の断熱性にもこだわる必要があります。
エムズホームの住宅は、「高気密高断熱」が基本。
家全体の断熱性を表すUA値は0.39以下、その他、「樹脂サッシ + 断熱ガス入り金属膜トリプルガラス」を標準仕様にし、太陽光発電のメリットをフル活用できる住まいをご提供しています。
その⑤「間取りや屋根形状が限定される可能性がある」
太陽光発電の効率を重視すると、どうしても屋根の向きや形状、角度、広さを優先しなくてはいけない可能性があります。
すると、どうしても室内の間取りや建物形状に制限がでてしまうかもしれません。
また、周囲を2階建て以上の建物に囲まれた環境では、平屋にすると思うような発電効率を見込めない恐れもあります。
「理想の間取り・デザインと発電効率を両立させたい」という方は、省エネ住宅の施工事例が豊富な会社へ相談することがポイントです。
その⑥「反射光によるご近所トラブルが起こる可能性がある」
太陽光パネルを設置している住宅が増えたことに伴い、反射光によるご近所トラブルも多く報告されています。
パネルから反射する光で暑さや眩しさを訴える方が多いのです。
ただし、どの場合でもトラブルになるという訳ではありません。
以下の場合に反射光害が発生しやすいので、パネルの設置場所には十分配慮しましょう。
〈屋根の北側にパネルが設置されている場合〉
太陽の高い南側に設置されているパネルは、反射光が上空へ向かいますが、太陽の低い北側ですと、隣家の窓などに当たりやすくなります。
〈隣家の方が高い場所にある・窓が高い位置にある場合〉
隣家の窓が太陽光パネルよりも高いと、反射光が当たりやすくなります。
この場合は、北側以外にトラブルのリスクが高いです。
〈屋根が急勾配な場合〉
太陽光パネルを設置した屋根の傾斜が急だと、正面に近い場所に反射光が向いてしまいます。
その⑦「蓄電池やパワーコンディショナーの設置場所が必要」
太陽光発電システムを導入する際、室内スペースへの影響を忘れてしまいがちですが、蓄電池やパワーコンディショナーの設置場所を確保しなくてはいけません。
パワーコンディショナーとは、太陽光発電した直流電力を家電製品などに使えるように交流電力に変換する設備です。
屋内設置型・屋外設置型ともに、一般的な大きさは、縦50cm・横30cm、厚さ15cm程度で、壁の上部などに設置します。
運転音は30db程度と、鉛筆で文字を書く音ほどなので、寝室などの近くでもそれほど気にならないでしょう。
(引用:Panasonic)
蓄電池は、屋内設置型と屋外設置型がありますが、屋内設置型ですとエアコンの室外機1台分程度、屋外設置型ですとエアコンの室外機2台分程度とそれなりの大きさです。
そのため、特に狭小地に家を建てる場合には、付帯設備機器の設置場所についても併せて検討しなくてはいけません。
その⑧「場合によっては固定資産税が上がる」
余剰電力を売電して多少なりとも収入を得た場合でも、個人利用の目的で太陽光発電(発電量10kWh以下)を導入していれば、固定資産税の課税対象にはなりません。
ただし、自宅と賃貸用を併用している場合など、事業の収入に結びつく場合は注意が必要です。
また、個人用の設備であっても、屋根材と太陽光パネルが一体のタイプですと、固定資産税が上がってしまう可能性もゼロではありません。
心配な方は、税理士や税務署などに事前相談しておくことをおすすめします。
その⑨「廃棄時に環境汚染してしまう可能性がある」
太陽光パネルの種類によっては、原料に「鉛・セレン・カドミウム」などの有害物質が含まれているものがあります。
将来、廃棄処分する際に適切な方法をとらないと、それらが環境汚染を引き起こしかねません。
現状では有害物質の流出・拡散が問題視されており、原因は廃棄物を出す事業者、つまり解体業者などが、有害物質の存在をあまり理解していないこととされています。
そのため、設置時点から将来取り替えなどをする際の施工会社を調べておくことが重要です。
また、できるだけ有害物質の少ないパネルを選定することもポイント。
メリットだけに気を取られずに、“最初から最後”まで責任を持って導入しましょう。
(参考:資源エネルギー庁|2040年、太陽光パネルのごみが大量に出てくる?再エネの廃棄問題)
私たち“エムズホーム”では、第一種換気方式・熱交換換気システムを標準採用しております。
まとめ|太陽光発電の導入はデメリットとその対策を知ってから
太陽光発電はニュースでも取り上げられることが多く、住まいへの導入を検討している方が少なくありません。
しかし、メディアで主に取り上げられるのはメリットばかり。
デメリットを知らずに設置して、後悔する方も多いのです。
そのため、設置を検討する際には、必ず欠点や注意点とその対策について理解を深めておきましょう。
また、施工実績の多い会社へ相談することも重要です。
私たち“エムズホーム”は、「愛着の持てる住まいづくり」をコンセプトに、高気密・高断熱で省エネ性能の高いスタイリッシュな住宅づくりを行なっています。
快適なマイホームづくりを実現したい方は、メール・お電話にてご相談ください。
エムズホームの家は「高断熱・高気密」にこだわっています
私たち“エムズホーム”では、お客様の快適な暮らしを実現させるために、「高断熱・高気密」を標準仕様としています。
■ UA値が0.39以下
家の「室内と外気の熱の出入りのしやすさ」を表すUA値が0.39以下になるようにプランニングいたします。
特に、屋根・天井の断熱材は、高性能グラスウール310mmを使用し、冬場の寒さはもちろん、真夏に小屋裏(天井裏)に蓄えられる熱気が室内に伝わることを抑えます。
UA値が低いということは、空調効率がアップするということ。
“エムズホーム”で新築したオール電化住宅では、省エネ性も立証されています。
■ Uw値が0.94以下
UA値が家全体の断熱性を示しているのに対して、Uw値は“窓”の断熱性を示す指標です。
窓は、外壁などよりも熱損失量が多く、重点的に断熱をしなくてはいけない場所。
ですから、“エムズホーム”では、「樹脂サッシ」+「断熱ガス入り金属膜トリプルガラス」を標準仕様としています。
ヒートブリッジ(熱橋)と呼ばれる“熱の出入り口”となりやすいアルミサッシにせず、熱伝導率の低い樹脂サッシにし、さらに最高峰の断熱性をもつトリプルガラスを入れることで、窓辺の温度差による不快感を抑え、結露の発生も防げます。
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